ちょっとひと言 【機関紙ほのぼの9月号】

2017年10月11日

被爆から72年。核兵器の保有や使用を初めて法的に禁じる「核兵器禁止条約」が国連加盟国の6割を超える122か国の賛成で採択された。この歴史的な採択の場に唯一の戦争被爆国である日本の姿はなかった。被爆者の皆さんの血のにじむような長年の努力を思うと、どんなにか悔しい思いをされただろうと想像に難くない

▼平和記念式典では、広島の松井市長が核兵器を「絶対悪」、広島の惨禍を「地獄」と近年にない強い言葉で表現し、長崎の田上市長は「核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を被爆地は到底理解できません」と日本政府を厳しく批判。さらに長崎被爆者代表の川野氏は安倍首相との面談の場で「あなたはどこの国の総理か」と強い口調で訴えたが、首相は表情も変えず式典での挨拶文の内容を繰り返し、まるで国会の肩透かしの答弁のようで、被爆者の気持ちに寄り添うものではなかった

▼今、核を持つ北朝鮮と米国の緊張が高まっている。核の抑止は互いが冷静でなければならないが、両者共に全く疑わしい。核の傘に依存する我が国の安全保障政策の転換こそが、被爆国日本の歩む道だ。大きく日本を変えなくてはいけない。