シリーズ どうなる9条 今、憲法改正を考える③
2018年6月20日
安倍改憲4項目のウソとごまかし
自民党は先の党大会で、①自衛隊加憲、②緊急事態条項、③参議院合区解消、④教育条項の具体化を執行部に一任すると決議しました。森友・加計問題、データ偽装、公文書改ざん、日報隠蔽。満身創痍となっても改憲への執念はとまりません。嘘とごまかし、開き直りは安倍政権の常とう手段。改憲4項目もその例にもれません。私たちは嘘を見抜く力を持たなくてはなりません。
〈何一つ変わらないというウソ〉
安倍首相は、「自衛隊を憲法に書き込んでも何も変わらない」と言います。それなら変える必要はないはず。国民投票の経費は850億円。変わらないが本当なら壮大な無駄使いです。国際法上、「自衛」という言葉には「集団的自衛権」も含まれます。安倍加憲で制限のない集団的自衛権行使が可能となりかねません。何も変わらないは、真っ赤なウソです。
〈大規模災害への備えというごまかし〉
大規模災害には戦争災害が含まれる余地があります。戦争災害を口実に国会の機能が停止され、総理大臣に権力が集中すれば、戒厳令の復活です。憲法が災害対策の妨げになったという実例はありません。通常の法律で充分対応可能です。「大規模災害への備え」はごまかしです。
〈参議院合区解消は開き直り〉
参議院の合区は憲法の求める一票の平等を確保するためのものでした。しかし、合区で自民党の議席は減りました。そこで憲法の方を変えてしまおうと言うのです。合区解消は地方の声と言いますが、政府はこれまで沖縄の声を無視し続けてきました。合区解消は全国比例代表制の導入でも可能です。できることをせずに、憲法を変えようとする合区解消改憲は最悪の開き直りです。
〈教育条項のごまかし〉
高等教育の無償化。最初はそう言っていました。ところが努力義務に格下げとなっています。これでは教育無償化は永遠の彼方に追いやられてしまいます。そもそも教育無償化は法律さえつくればすぐにも実現可能です。今できることをせず、「努力だけはするよ」という教育改憲案はごまかしです。
安倍改憲案は、ウソとごまかし、開き直りで塗り固められています。こんな人たちに改憲をさせるわけにはいきません。今こそ私たちが声をあげる番です。
弁護士 杉島 幸生(関西合同法律事務所)