私達の選択と行動にかかっている 平和国家を続けるのか戦争国家となるのか
2016年2月24日

関西合同法律事務所
弁護士杉島幸生
昨年9月19日、安保関連法(戦争法)が強行採決されました。この戦争法によって日本の自衛隊は、日本が攻撃されていなくても、友好国が攻撃されているからと海外で戦争をすることができるようになりました。また、この法律は、実際に戦闘が行われていない場所であれば、国際貢献という口実で、自衛隊が外国軍の後方支援を行うことや、駆けつけ警護という名の武力行使を行うことも認めています。
憲法解釈まかり通れば法治国家でなくなる
戦後70年、私たち日本の市民は、戦争を経験していません。それは日本国憲法第9条が海外での武力行使を厳格に禁止してきたからです。ところが安倍内閣は、
「憲法の解釈を変えたから戦争もできるんだ」として戦争法を強行採決してしまいました。政府の暴走を防止するためのルール(憲法)を、時の政府が解釈で変更できるとなれば、憲法などあってもなくても同じということになってしまいます。
これではとても法治国家などと言うことはできません。安倍首相は、「私は、戦争なんてしない」と言います。しかし、憲法を変更し海外での武力行使を認めたドイツは、アフガニスタン戦争に参加して多くの戦死者を出しました。さらにテロ対策としてシリア空爆も参加しようとしています。
「人を殺し殺される」ことがリアルな現実に…
これまで日本は、「憲法9条があるから戦争には協力できない」とアメリカの要請を拒否することができました。しかし、これからは「戦争法があるのに、なぜ協力できないのか」と言われることとなります。多くの市民、法律家、憲法研究者の反対を押し切って強行採決という暴挙を繰り返した安倍内閣が、アメリカの要請を拒否することができるとはとても思えません。自衛隊が、海外で「人を殺し、殺される」ということがリアルな現実になろうとしています。そうなれば私たちも、憎しみの連鎖に巻き込まれることでしょう。そうしないためには。戦争法を廃止し、海外での武力行使を認めた閣議決定(解釈改憲)を再び変更しなければなりません。
「戦争法廃止、野党は協力」の声を上げよう
今年の夏にある参議院選挙は、戦争法廃止のための政府を樹立するチャンスです。戦争法廃止、憲法擁護を掲げる野党が協力すれば、自公政権を打ち破ることも可能です。そのためには私たち市民ひとりひとりが
「戦争法廃止、野党は協力しろ」の声をあげなければなりません。平和国家日本を続けるのか戦争国家日本となるのか。それは私たちの選択と行動にかかっています。